自分らしさを仕事にする!明光ワクワクワーク♪:Vol.1 声優 堀江一眞さん
カテゴリー:勉強&進路明光ワクワクワーク
自分の好きなことを発見し、それを仕事にしている人って魅力的ですよね。自分らしさを仕事につなげる秘訣をぜひ知りたいという保護者の声も多いはず。そこで、子どもたちが憧れるあの仕事をしている「しごと人」にインタビューします。
ぼんやりと将来のことを考え始めたお子さんと、それをサポートする保護者が知りたい仕事のお話をお届けするコーナーです。
今回は声優、堀江一眞(ほりえかずま)さんにお話をうかがいました。『夏目友人帳』の田沼要役や『デュラララ!!』の矢霧誠二役といった人気アニメの声優をしていらっしゃいます。声優は子ども達のあこがれの職業ですが、実際にどんな内容の仕事をしているのかは意外と知られていないのかも。声優になるには特別な勉強が必要なのでしょうか?保護者はどんなサポートをすればよいのでしょうか?
メイコミュナビゲーターのダイスケとナオミがお話を聞きました。
- ダイスケ
- アニメの声を当てたり、テレビのナレーションをしたりするお仕事、声優。今回は声優の堀江一眞さんに、ご自身のお仕事や夢を持ったきっかけなどについてお話をうかがいます。
- ナオミ
- ナオミです。今日は、子どもを持つ親の立場からお話を聞けたら嬉しいです。堀江さん、よろしくお願いします。
- 堀江さん
- こちらこそよろしくお願いします。
「声優」という仕事について
- ダイスケ
- 堀江さんは声優として幅広いお仕事をされているんですね!
- 堀江さん
- アニメーションのキャラクターの演技やナレーションや洋画の吹き替えなどをしています。声優以外では、朗読劇のプロデュースやWebラジオの運営をしています。
- ナオミ
- さまざまなお仕事をされているんですね。ところで私、声優さんのお仕事について詳しくないのですが、アニメの声を当てるのって演技力が大切なんですか?
- 堀江さん
- 演技力も大切ですが、プロとしての仕事には他にも色々なことが要求されます。多くのアニメはスケジュールが厳しいので、画が完成する前に声を当てるんです。場合によってはまだしっかり表情が描かれていないことや、音楽や効果音などがついていないこともあります。そういう状態の画を見ながらキャラクターの喜怒哀楽を表現しなければいけません。
実際に完成した画はどうなるだろう?この画に効果音や音楽が入ったらどうなるだろう? と、声優各々がシーンをイメージしながら演じる必要があり、そういう意味ではプロならではの経験や技術が試されます。
- ダイスケ
- そうだったんですか、初めて知りました。てっきり画が完成した状態で声を当てていると思っていました。
- ナオミ
- さすが、プロの仕事ですね。
声優を目指すきっかけ 〜クラスメイトの死〜
- ナオミ
- 堀江さんが声優を目指すきっかけは、何だったのですか?
- 堀江さん
- 僕は高校3年生まで、サッカー、野球、テニスなどスポーツ中心の生活でした。アニメや漫画も好きでしたけど、そこまでマニアックではなかったんです。声優という職業に就こうと思ったのは遅くて、高校3年生のときでした。
- ダイスケ
- 高校3年生のとき、何か大きなきっかけがあったんですか?
- 堀江さん
- クラスメイトの女の子が突然亡くなったんです。10代の身近な人が亡くなるという事実が本当にショックで、漠然と生きている自分とは何なのかを考えました。
それまでは「いつか」やりたいことが見つかると思い込んでいたんですが、亡くなった彼女にはそんな「いつか」がもうないんですよね。自分は生きている…最初は正直自分も死ぬのが怖いという感情からスタートしましたが、いつしかその子が生きられなかった分、自分が精一杯生きることが彼女への最大の供養になるではないかと思い、そこから自分の本当にやりたいことを探し始めたんです。
- ナオミ
- 悲しい話ですけれど、堀江さんはそれをきっかけに自分探しを始めることができたんですね。
- 堀江さん
- そうですね。「何かやらなきゃいけない」という使命感から、色々と将来の仕事について考えました。「やりたいこと」を探すために「やりたくないこと」をリスト化したりしましたね。その結果、子どもに関わる仕事が自分には向いているんじゃないかという答えに至り、具体的には先生や保育士、そして声優という職業が思い浮かびました。そこから最終的には声優を選ぶことになるのですが。
- ダイスケ
- そこで声優という仕事にたどり着いたんですね。
- 堀江さん
- 最初は親も担任の先生も大反対でしたよ。そのくらい、僕と声優という職業が結びつかなかったんでしょうね(笑)。プロダクション附属の養成学校のオーディションと大学受験、どちらも一緒に頑張るということで最終的に納得してもらいました。
結果的に養成学校のオーディションは合格することができたんですが、大学は残念ながら…ですので、養成学校に通いながら浪人生活を送るという二重生活となりました。1年後には正式にプロダクションへの所属が叶い、大学にも合格できたので、声優と大学生という二足のわらじを履く生活が始まりました。
- ダイスケ
- 声優活動と学生を同時にこなすなんて、僕にはとても無理だなぁ。すごいですね!
コミュニケーションの大切さ
- ナオミ
- 実際に声優を始めてみて、苦労したことはありますか?
- 堀江さん
- 声の仕事は、期待に応える演技ができれば評価されますけど、逆に失敗が続けばそのイメージがついてまわりますし、そうなると出演の機会も少なくなっていきます。
また、起用に関しては必ずしも実力だけではなく、人と人との繋がりも大きいです。監督さんをはじめ、現場の方たちから一緒に仕事をしたいと思ってもらうためにも、礼儀正しさはもちろん、コミュニケーション能力が必要になってくると思います。
- ナオミ
- 実力があっても、それを発揮する場を自分で作らなければいけないんですね。
- 堀江さん
- そうなんです。実は僕、そのコミュニケーションがとても苦手だったんですよね(笑)。スポーツをずっとやっていたというのもありますが、実直すぎたんですね。真面目は真面目でしたが、無愛想といえば無愛想で…。ですから事務所スタッフも現場スタッフも絶対とっつきにくかったと思います(苦笑)。
- ダイスケ
- なにか変わるきっかけがあったんでしょうか?
- 堀江さん
- あるとき、家の前に仔猫が捨てられていたのですが、放っておくことができず、保護して一緒に暮らすようになりました。本当にかわいらしい猫で毎日楽しく過ごすようになりましたが、その頃から人当たりがとても良くなったと言われるようになりました。
まず笑顔が増え、スタッフとも猫の話で盛り上がることができるようになりました(笑)。ブログで猫のことを書くと、ファンの方も今までにない親しみを感じてくれるようになって。きっかけがあれば人って変われるものだな、と実感しました。
- ダイスケ
- 何がきっかけになるかわからないものですね。いろいろなことにチャレンジしてみることが大切なのかもしれません。
学生時代に学んだこと 〜学校の勉強は今の仕事につながっている〜
- ナオミ
- 学校の勉強についてもお聞きしたいです。堀江さんは得意教科などはありましたか?
- 堀江さん
- 僕は国語が得意でした。作品の登場人物たちに感情移入したり、そこから色々と想像したりすることが好きだったんだと思います。
- ナオミ
- 何か想像力を育むような子ども時代を過ごされたんでしょうか?
- 堀江さん
- 僕は昔から映画が好きで、幼い頃からよく映画を観る家庭環境ではありましたね。『シンドラーのリスト』を高校時代に友達と映画館に観に行って、男3人で泣きながら帰ったりしたこともあります。「こんな幸せな時代に生まれた俺たちはもっとできることがある!」と言って号泣していましたね…。今思えば少し恥ずかしいエピソードですが、映画を観ることによって感受性が育まれたのかもしれませんね。
- ダイスケ
- 子ども時代に芸術に触れるのは大切ですね。
- ナオミ
- そうそう、堀江さんは声優業の傍ら大学にも行かれていますが、どんなことを学ばれたんですか?
- 堀江さん
- 声優は個人事業主で不安定な職業ですので、経営を学ぶ学部を選びました。
現在、僕はWebラジオの運営や和楽器とコラボレーションした朗読劇を主催しているのですが、そういった組織的な活動の運営も大学で勉強したことが生きていると思います。
- ダイスケ
- すごいなぁ。大学の学部を選ぶときに将来のことまで考えていたんですね。
- ナオミ
- 将来やりたいことが明確になると、何を勉強すればいいかも自然にわかってくるというわけですね。
- 堀江さん
- あとは昔からやっていたスポーツも役立っています。声優は1日に何本も仕事をこなすこともあり、そうなれば体力はもちろん、プレッシャーに勝って時間内にきっちりOKを出せる集中力も必要です。そうした体力や集中力は、スポーツによって育まれたと思っています。
そして、リアルな経験を積むことが大切ですね。例えば海外旅行に行ってさまざまなものを見聞きしたり、勇気を出して女の子をデートに誘ってみるといった経験です。声優の仕事はいろいろなキャラクターに感情移入し、その上で自分なりの表現をしていく仕事なので、リアルな経験の中で見たり感じたりしたことは、その後のキャラクターを通した表現に絶対に役に立つものだと思います。
保護者、そして子どもたちに伝えたいこと
- ナオミ
- 声優という夢を叶えた堀江さんに、子どもを持つ親としてぜひ聞きたいことがあります。親が子どもの個性を伸ばして、将来につなげるためにはどうサポートしていけば良いでしょうか?
- 堀江さん
- 僕も自分の仕事をしながら、これからの子どもたちに何を伝えられるのかをよく考えます。昔と比べて、アニメの世界は大きなお金が動くものになりました。けれど、その中でも子どもたちを生き生きとさせるようなものを、大人の責任として作らなくてはと思います。
僕は依頼を受けて、不登校の子どもたち向けに声優の仕事を体験させる授業を行うこともあり、その中でいろいろな境遇の子どもたちと接するのですが、その中でも一番大切なことは「信じること」だと思っています。
- ダイスケ
- 「信じること」ですか。
- 堀江さん
- はい。親御さんには、とにかくお子さんのやりたいことを信じてあげて欲しいですね。僕自身も、最終的には親や周りの人たちが信じ続けてくれたからこそ、今の仕事ができていると思います。
無理に手を貸す必要はありません。ただ心から信じ、見守ってあげるだけで、それは子どもにとって大きなサポートになると思います。子どもは親に信じられているという嬉しさや安心感があれば、勝手に自分の道を切り開いていくものですから。
- ナオミ
- 夢を持つ子どもたちに向けて、アドバイスがありましたら教えてください。
- 堀江さん
- 声優に限らず、仕事をするということはそれなりに大変なことだと思います。
スポーツと一緒で競争して勝たなければいけないこともたくさんあります。それでも、やりたい仕事だから続けられるし、やりたい仕事をしているということ自体がプライスレスだと思うんです。
本当に自分の好きなものに巡り会えたのであれば、その気持ちを信じて、実際に行動し、続けて欲しい。全員が巡り会えるわけじゃない。とても幸運なことです。だからこそ飛び込んでみる価値は絶対にあると思います。僕も高校3年生の時に、決断して飛び込んでみたからこそ今があります。
ですから親御さんも、もしお子さんの本気を感じたのであれば、たとえそれが親御さんにとって関心のないものであっても、まずは信じてサポートしてあげて欲しいです。うまくいくか、いかないではなく、自分の信じたことを一生懸命やってみることが大切だと僕は思っています。
- ダイスケ
- 本当に心にしみるメッセージです。
- ナオミ
- 堀江さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。
自分らしさを仕事にするキーワード:「信じる力」
- ダイスケ
- 本当にいい話でしたね、僕、泣きそうになっちゃいましたよ。仕事に正面から向き合っている方でしたね。
- ナオミ
- そうですね。堀江さんがクラスメイトの死をきっかけに、将来のことについて考えるようになったのも、きちんと向き合ったからこそだと思いました。
- ダイスケ
- その時に決めた声優という夢をしっかりと信じて、進んでいったんですね。
- ナオミ
- 夢を信じることって、とても大切なのよね。自分が自分の夢を信じていたからこそ、周りの人も信じて応援してくれたんでしょうね。
- ダイスケ
- 堀江さんのおっしゃっていた「信じる力」、僕たちも大切にしていきたいですね。
- ナオミ
- 子どもたちにも保護者の方にも、ぜひ考えてほしいメッセージでしたね。
堀江さん、本日はありがとうございました!
PROFILE

東京都出身。多摩大学卒。アニメ「夏目友人帳」「デュラララ!!」「フェアリーテイル」「イナズマイレブン」や、海外ドラマ「SMASH」「ワン・トゥリー・ヒル」に声の出演、また各種TV-CMのナレーションを担当。
高校教諭第一種免許や英語検定2級も所有。趣味・特技はスキー、テニス、野球、自主映画制作。
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