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メイコミュTopインタビュー:料理家 栗原心平さん

カテゴリー:スペシャル
料理家 栗原心平さん

一緒に食べる人の笑顔を想像すれば、料理はもっと楽しくなる。

日々、おいしい料理のレシピや食事の大切さを世の中に届けている料理家の栗原心平さん。同じ料理家の栗原はるみさんを母に持ち、幼いころから料理が身近にある環境で育ちました。“おふくろの味”が栗原さんに教えてくれた料理の魅力、そして、料理が苦手なママへのメッセージを伺いました。

PROFILE

くりはら・しんぺい/1978年生まれ
静岡県出身。料理家・栗原はるみの長男として生まれ、自身も料理家として活動を始める。2012年より、テレビ東京系列で放送中の「男子ごはん」にレギュラー出演。分かりやすくておいしいレシピが好評を博し、幅広い層の支持を得る。主な著書に『僕のサラダ 野菜をたっぷり食べたい日に』(電子書籍)など。

今も忘れられない 母が掛けてくれた言葉

まず、料理を作り始めるようになったきっかけを教えてください。

特別なきっかけがあったわけではなく、小学生のころから自然と台所に立っていました。母の仕事柄、家には食材が豊富にありましたしね。母が仕事で留守のときは、父の料理を作るのは僕の役目。友だちが遊びに来たときも、簡単な料理を振る舞っていました。

友人たちとは外で遊ぶことが多く、一方で本もたくさん読んだそう。学校の成績はというと…。

国語、社会は得意でしたが、数学が大の苦手。数式の決められた感じがどうも性格に合わなくて、成績はいつも学年の真ん中くらいでした。小学生のころの将来の夢ですか?うーん…武士でしたね(笑)。歴史が大好きで、中学生のころは「歴史学者になりたい」と思っていたんですよ。

そんな栗原さんは、学校以上に家庭で多くのことを学んだそうです。

中学生のとき、友だちとケンカをしたことがありました。謝らずに意地を張っていると、母に「自分から謝りなさい。プライドを捨てられる人が一番プライドの高い人なんだよ」と言われたことは印象に残っています。母は人間関係のことを、父は社会的なモラルを教えてくれました。食事のマナーには特に厳しかったですね。箸の持ち方、使い方、テーブルにヒジをつかない、ヒザを立てない。おいしい料理には、それをいただくためのルールがあることを学びました。
当時を振り返ってみると、仕事に出掛けた母が作り置きした料理がいつも家にあったことを思い出します。特に印象深いのは麻婆春雨。時間が経って目いっぱい汁を吸ってしまっていたのですが、それをご飯に乗せて食べて…あれは本当においしかったなあ。

鮮明に残っている 母が作った料理の記憶

高校時代は音楽に熱中し、一時はレコード会社に声を掛けられたこともあるそうですが、選んだのは母・栗原はるみさんと同じ料理家の道でした。

青春時代、一番真剣に取り組んだのは音楽。料理に関して、上達したいという意識はあまりありませんでした。とはいえ、小学生のころから料理は作り続けていましたし、母親の仕事現場にも頻繁に立ち会っていました。そんなとき、たまたま出版社の方に声を掛けていただいて。母に料理の作り方を教わったことはありませんでしたが、母が作った料理の記憶は鮮明に残っていたので、迷いはありませんでした。ただ、試作せずに考えた僕の料理を見て母がひと言、「あなたの料理は雑ね」って…。あれはこたえましたね。けれど、言われてみればその通りで、それから意識的に改善していくようになりました。

食卓に一品だけでも“おふくろの味”を

料理家 栗原心平さん

私たちが暮らしていくうえで欠かすことのできない食と料理。一方で、それは時に面倒であり、作ること自体が苦手な人もたくさんいます。そんな人に出会うと、栗原さんは「肩肘を張らなくていいんですよ」と言葉を掛けているそうです。

毎日料理を作るのって、とても大変ですよね。だから、スーパーで買ったお惣菜や即席麺で済ませることがダメだとは思いません。ただ、子どもにとってお惣菜や即席麺が“おふくろの味”になることだけは避けてほしい。普段はきちんとした料理を作って、忙しいときだけお惣菜や即席麺で済ませる、そのバランスが大切だと思います。まずは「味噌汁だけは毎回きちんと作る」などのルールを決めて、子どもに“おふくろの味”を食べさせてあげてください。

子どもの考えや行動を決め付けずに接する

料理は食べるものであると同時に、家族や友人との最も身近なコミュニケーションツール。栗原さんにとって、料理は子どもに絵本を読み聞かせたり、公園で遊んだりすることと大きな差はないそうです。

おいしい料理が並んだ食卓を囲むと、自然とコミュニケーションが生まれてきますよね。料理が苦手で重荷に感じてしまう主婦の方々は、そんな“料理の先にあるコミュニケーション”を想像してみてはどうでしょうか? たとえば、自分が作った料理をおいしそうに食べる子どもの笑顔、その料理に対する「ありがとう」というパートナーの言葉。友人同士で手作りの料理を持ち寄って、ホームパーティーを開くのもおすすめです。何を作るかより、誰の顔を思い浮かべて作り、誰と一緒に食べるか。それを大切にすれば、自然と相手の好きなものを考えるようになりますし、気持ちの込もった料理が作れると思います。

子どもたちが喜ぶメニューはありますか?

“親子で一緒に作る”という過程を楽しめる料理がおすすめですね。たとえばピザ。生地の上に自由に具材をのせられるので、子どもたちにとても喜ばれます。大体はぐちゃぐちゃになりますけど(笑)、完成品はチーズが溶けて見栄えは意外にきれいなんですよ。それから、皮で餡を包んでいくギョウザもいいですね。

最後に、栗原さんが子育てをするうえで気をつけていることを教えてください。

子ども向けの料理教室で、ある生徒が包丁で指を切ってしまったことがありました。そのとき、心配した親が駆け寄っていくと、子どもはわんわん泣いてしまいます。自分が悪いことをしたと勘違いしてしまうんですね。さり気なく「大丈夫?」と声を掛けて絆創膏を貼ってあげると、子どもは泣きません。料理を通して子どもを知り、教え、育てることができると思います。
わが子に対しては、子どもの考えや行動を決め付けないように接しています。たとえ悪いことをしても、決め付けずにまずは話を聞いてあげる。しっかりと向き合えば、うそか本当かは分かるものです。
親になると、いろいろなルールを子どもに押し付けがちですよね。でも、本当は親が子どものルールに合わせる方がいいんじゃないかな。臨機応変に、自由に子どもを育てる。数式が苦手な僕なりの子育て法かもしれません(笑)。


こちらの記事は、親子で楽しむ情報マガジン『oyakoto(オヤコト)』2016夏号でもお読みいただけます。

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